2日目の学び(2)
続きです。自己概念の揺らぎと影にたいする質問に対して、
自己概念のゆらぎの話の中で、「ゆらぎって良く判らない。」の質問がありました。これに対しては講義の中で一度出たイソップ童話の「酸っぱい葡萄」の話を挙げてました。
「お腹を空かせた狐は、たわわに実ったおいしそうな葡萄を見つけた。食べようとして懸命に跳び上がるが、実はどれも葡萄の木の高い所にあって届かない。何度跳んでも届くことは無く、狐は、怒りと悔しさから「どうせこんな葡萄は酸っぱくてまずいだろう。誰が食べてやるものか」と負け惜しみの言葉を吐き捨てるように残して去っていった。」出典: ウィキペディア(Wikipedia)ですね。
講師は、この狐は想像ですが、自分はジャンプ力はある方だと周りからも認められ自慢だった。それが葡萄に届かなくて、その自慢の能力が足りない事実に遭遇した時にそれを受け留めることが出来きなかった。そこから目をそらすために「あの葡萄は酸っぱくてまずから取れなくてもよい」と正当化し、自身のプライドを守っていると捉えられます。この狐にとって自分の自慢の能力が足りない事実を知った時の不安な気持ちが自己概念の揺らぎと言えるのでは?との説明でした。判りやすい例だと思いました。
因みに私自身はゆらぎは自分の足元が揺れているイメージです。心の中にある長く気づきあげて堅牢と思っていた価値観の地面が揺れている感じです。
次に自己概念の影って?については影と言うと暗い感じになるの声が何人から挙がりました。これに対しては「自己概念の片りん」とすると判りやすいかもしれません。確かに!クライエントの言葉の切れ端にかすかに残る片りんのような価値観を現す表現ですね。
例えば今回の逐語の中でわたしが片りんを感じたのは、結婚相手が海外赴任する事になり、今の仕事を辞めなければならないと悩んでいる女性が、相手から「向こうに行ったら何も仕事しなくていいからと”普通”に言われたんです。」の普通って言葉の持つ違和感ですね。こちらが悩んでいる重みと相手は何とも思っていない温度差を表している気がします。
2日目の学び(1)
昨日の養成講座スタッフは2日目でした。2日目は自己概念、経験代謝、カウンセリング3条件(受容・共感・自己一致)のJCDAにしかないコア部分です。やはり質問も多かったですが、それに対する講師の回答はとてもいい学びになりました。先ず一つ目。
自己概念の所で質問や感想を受け付けたところ、自己概念そのものでは無いが「就活の頃に自己分析でマニュアル本を基に学生生活やアルバイトの経験で得たものを落とし込もうとして、かえって自分が何なのか判らなくなった事を思い出しました。」との感想がありました。
講師は自己概念は自分と自分を取り巻く世界の捉え方ですが、ある理論家はこの自分とは、その人の興味、能力、価値観で構成されるとも言っています。就活のミスマッチでよくあるのは、就活生がいわゆるガクチカを聞かれた際に、経験を通して達成した結果や得た能力やスキルを聞かれていると思い込んでいることが多いと指摘しました。求人側は、むしろ経験を通して本人が気づいた自分つまり興味や価値観を知ることで、目指す仕事に合っているかを判断している。例えば、アルバイトで人と接する中で得た接客スキルを聞きたいのでは無く、人と交流する中で生き生きとする自分を知ったといった自身の価値観を知りたいのでは?でした。
学生の段階では自己概念の中でも能力・スキルよりも自分自身の興味・価値観、自分は何なのかを自己分析を通して知ることが大事なんですね。
養成講座は進化した!
この4か月余り第21回養成講座のスタッフを担当しました。キャリアコンサルタントの養成講座は、第14回を受講以来2年半ぶりでした。
この間に職業能力開発促進法の省令の変更で養成講習140時間から150時間(演習時間は60時間から70時間)になり、我々の頃の10日から12日間に増えていました。その代わりスタートが9:00から9:30に遅くなりましたが、日数の増加の方がボリューム感はある気がしました。どうやら17回からカリキュラムも変わったようで、最近勉強会の受験生のレベルが上がったと感じていた理由が判った気がしました。
視聴映像は今どきの企業セルキャリアドックやLGBTQの部分は新しくなってましたが、基本的なテキストやシートはほぼ同じでした。今更のように気づきましたが、視聴映像のナレーションと2日目のロープレが養成講座の講師が担当され、まるでお世話になった講師が横に居るような不思議な感覚でした。
大きく変わったと感じたのは実技対策の部分でした。ここに増えた10時間が充てられているようでした。
例えば、統合ロープレ(15分以上、3人一組フィードバックあり)が3日目から9回ありました。しかも後半3回はラーニングサポーターが各グループに参加と手厚いサポートでした。我々の頃は代表ロープレ以外はテーマを決め短い時間のワーク程度で、傾聴とラポールの形成を目標としたものでした。今回は講義の中でも経験代謝を念頭に意図を持った問いかけをするように指導され、受講生もロープレの中でその問いかけを試みてました。また10日目には逐語に対する論述試験の問3、4に相当する質問のワークがあり、回答のそのものではありませんが回答のポイントを示す説明もありました。かなり以前より実技試験や実務を意識したような内容で「養成講座は進化した!」と思える内容でした。
私自身も講師の計らいで、人数が足りない時は度々クライエントやオブザーバーで参加し、良い学びをする事が出来ました。スタッフを受ける際は2年前の講座内容の復習程度のつもりでしたが、むしろ前回の講義の先の部分を学ぶ良い機会になりました。次の22回も担当して、次は少し余裕をもってロープレにも参加できればと思います。
学び続けている辺り
養成講座のスタッフ2日目になりました。初日は初めての場所と配信セットアップ、講師との初顔合わせ、オンライン講座の進行など慌ただしく講義も上の空でした。2日目は自己概念・経験代謝というJCDAが最も大切にする「(ある意味)JCDAのありたい姿」だったので講師も力が入ってました。受講生の頃の私には今一つピンと来なかった辺りです。少し余裕が出て聞き始めた話の中では問いかけの意図の所はとっても参考になりました。これまでCLの感情を示す言葉を見逃さず拾って伝え返しやそこから問いをする際に、その問いの意図は深く考えて せんでした。問いの意図は二つあり、一つは相談者の経験の再現のための事柄への問、例えば「いつ、どこで、どんな風にその話を聞いたんですか?」。もう一つは感情を示す言葉を拾いながら、例えば「その時の悔しい気持ちって、どんな感じですか?」とその感情を現すのにもっと適切な言葉を問うことで、その感情の源になる相談者の自己概念を知る意図です。何れも経験代謝サイクルに必要な問いであり、また相談者の変化(コンサルティング前後)を意図する係わり行動なんですね!深いです。
一周回って…
4月からキャリアコンサルタント養成講座のスタッフの仕事を始めることにしました。キャリコンに関しては転職サイトの相談員や受験生サポートなど月に数回のペースで続けていますが、専門機関の様に周りのフィードバックが有る環境では無いため自分自身の成長を確認する機会がありませんでした。養成講座を出てはや2年、一周回って振り戻しの感はありますが、来年技能検定にチャレンジする事も考えると、一度原点に戻り受講生と一緒に学び、かつ自分のカウンセリングを試す機会として申し込みました。と言うことで来月から、企業研修の事務局、転職サイトの相談員、養成講座のスタッフ、受験生サポート、モノづくりラボ会議開催と何れも週1月1ですが合わせると結構忙しくなりそうです。しかも全てオンライン!昨年末に整備したテレワークインフラが十分活用できそうです。
ジョブ型の人事制度

初受験サポーターのグループ
昨日は初めて受験サポーターした時のキャリコン15回受験のグループの勉強会に参加してきました。コロナで受験が延びたために30回以上ロープレ練習をすることが出来た?せざるを得なかった歴史的なタイミングのグループです。受験後もその繋がりを大事にして、月に1回集まって勉強会をやっているそうです。苦難を福に転じただけでなく、こんな風に続く絆は羨ましいばかりでした。
勉強会は試験のインテイク15分の後の15分を加えた30分間のロープレ練習でした。参加された方も試験後全くキャリコンに触れる機会もなく参加するのに勇気の必要だった方やすでに相談業務をしているが自分の対応が本当に良いのかフィードバックが無く不安だった方など居られました。私も様々な方の価値感に触れられ心のストレッチが出来ました。
失業率の内訳から
キャリコンやFPの試験でよく出る雇用の指標として完全失業率があります。「労働力人口(15歳以上で働く意欲のある人)」に占める、「完全失業者(職がなく、求職活動をしている人)」の割合でしたよね。令和3年10月時点で2.8%だそうです。
普通はここで終わりですが、最近解いたCFPの試験問題でもう少し深く失業率を理解する事が出来ました。
先ず失業率は次の二つの要素からなるそうです。
【需要不足失業率】
景気変動で起こるもので。例えば景気悪化により、解雇されたりして求職者が増えるのに対して、企業が求人を控える事による割合です。
【均衡失業率】
一方景気と関係ない要因もあります。先ず企業が必要とする能力・スキルや年齢と求職者のそれらの分布が合わない「構造的失業」、さらに企業が必要とする人材と求職者がマッチングするまでの時間的なロスによる「摩擦的失業」の二つです。
例えば2009年においてはリーマンショックの影響後で 5 %以上の失業率に対して構造失業率の 4%とかなりギャップが発生しました。2015年ころにようやく両者が 3%台ほぼ一致するまで間は、摩擦失業の高い状態が続いたと言えます。
この時期は急な不況による就職構造の変化に対して、従来の業界分析や就活情報が通用しなくなり、求人側も求職者もその活動がうまく行かなかった時期と思われます。
このような摩擦的失業の原因となる情報の非対称性と呼ばれる部分を減らすために、求職者の側に立ち求職者の自己理解や職業理解を高めて過去の就活常識に囚われずに適切な選択ができるよう支援するのがキャリアコンサルタントの役割かなと思いました。大げさに言えば世界経済のダイナミクスの中での自分たちの役割ですね。